常葉大学は静岡の教壇を支え続ける総合大学、偏差値35という数字の位置を確かめる

常葉大学で検索すると、やばい、Fランといった言葉が並び、受験生や保護者が不安になるのも無理はありません。ただ静岡県内では、教育の常葉と呼ばれるほど教員を送り出してきた総合大学でもあります。ここでは偏差値35・充足率102.4%という数字と、教員養成の実績や地元就職までを公式データで落ち着いて確かめていきます。
この記事の目次
静岡の学校現場に常葉出身者が並ぶ、教育の常葉という呼び名の重み
常葉大学を静岡県で語るとき、まず出てくるのが教育の常葉という言葉です。教育学部は1980年に開設され、開設以来この学部から巣立った教員はすでに3,500人を超えます。静岡県内の小中学校を訪ねれば、常葉大学の卒業生が担任や教科担当として教壇に立っている光景は珍しくありません。県内の教員供給源として、長い年月をかけて存在感を積み上げてきた大学です。
この強さを支えているのが、附属校を活用した早い段階からの現場体験です。附属の小学校で1年次に授業実践、2年次に観察実習を組み込み、教員になる意識を入学直後から育てます。静岡草薙キャンパスに置かれた教職支援センターでは、採用試験対策の学習会や面接指導、願書の添削まで手が届きます。名前の知名度だけで大学の中身を測ると、この地域に根を張った蓄積を見落とすことになります。
偏差値35はどの学科の数字か、10学部19学科をならして読む
常葉大学がFランと呼ばれる直接の火種は、偏差値35という数字にあります。河合塾の偏差値でおおむね35未満やボーダーフリーとされる大学がFランと俗称される中で、常葉大学にも偏差値35前後の学科が実在します。この一点だけを取り出せば、確かにFランの定義に触れる部分があるのは事実で、そこは正直に受け止める必要があります。
ただ常葉大学は10学部19学科を抱える総合大学で、学科ごとに難易度の幅があります。教育や心理、健康科学の一部の学科では偏差値が40台に届き、志願倍率も一定の水準を保っています。低い数字の学科だけを大学全体の看板のように扱うと、実態を大きく取り違えます。受験生が見るべきは大学名の平均ではなく、自分が志望する学科の倍率と偏差値です。同じ常葉大学の中でも、入りやすさは学科によってはっきり分かれています。
充足率102.4%が示すのは、静岡の受験生が毎年選び直している事実
収容定員充足率102.4%という数字は、いまの地方私大が置かれた環境と重ねると意味がはっきりします。近年は地方の私立大学で定員割れが広がり、定員の100%を埋められない大学が半数近くに達しています。その逆風の中で、常葉大学は定員をわずかに上回る学生を毎年集め続けています。偏差値の一部が低いことと、学生が集まらないこととは別の話だと、この数字が示しています。
これを下支えするのが、静岡県内での知名度と附属高校群の存在です。常葉大学は静岡市を中心に複数のキャンパスを構え、附属の中学高校を県内に持ちます。地元でよく知られたブランドが、県内の高校生から進学先として繰り返し選ばれる循環を生んでいます。定員割れで経営が揺らぐ大学とは状況が違い、地域の需要に支えられて志願が回り続けている数字だと受け止めてよいでしょう。
2023年度は71人が教員採用試験に合格、静岡県公立に54人
Fランだから就職できないという不安に対して、常葉大学で最も直接的な答えになるのが教員採用の実数です。教育学部の公表値では、2023年度の教員採用試験合格者数は71人で、そのうち静岡県公立に54人が合格しています。学部全体では就職率98.0%という数字も公表されており、教壇への進路が具体的な現実として機能していることがわかります。
合格を積み上げているのは、根性論ではなく仕組みです。1年次から附属校での実習を重ね、教職支援センターが採用試験の筆記と面接、論文の対策を継続して支えます。教職大学院も設置され、より高い専門性を求める学生の受け皿になっています。学校教育課程では小学校に加え、中学校や高等学校、特別支援学校の免許取得の道も用意されています。地元で教員をめざす静岡の高校生にとって、常葉大学は現実的な選択肢の一つです。
保育・健康科学・造形、資格に直結する学部が用意する出口
常葉大学の強みは教員養成だけではありません。総合大学として、保育、健康科学、造形、法など、卒業後の職業に直結する学部を幅広くそろえています。保育士や幼稚園教諭をめざす課程、看護や理学療法など医療系の国家資格を軸にした健康科学系の学科、デザインや美術を学ぶ造形の学部など、資格や専門技能で出口を描ける進路が並びます。
資格職に直結する学部が多いという構成は、就職の再現性という点で見逃せません。偏差値が全国区の難関とは言えなくても、免許や国家資格を取得すれば、その分野での採用は学歴の平均値だけで決まりません。看護師や理学療法士、保育士、教員といった専門職は、資格そのものが採用の土台になります。大手企業への大量就職を看板にするタイプではなく、地域で必要とされる専門人材を送り出す大学だと捉えると、実像がつかみやすくなります。
静岡での地元就職と就職率、判定はどう見ればよいか
就職の全体像も数字で確かめておきます。大学が公表する就職率は98.0%の水準で、多くの卒業生が静岡県内の学校や企業、医療機関、官公庁へ進んでいます。地域に密着した総合大学として、静岡で働きたい学生にとっての受け皿になってきました。ネット上の断片的な印象語よりも、こうした地元での実績のほうが進路選びには役立ちます。
判定を整理すると、常葉大学は偏差値35前後の学科を持つ点でFランの偏差値定義に触れる部分がある一方、定員割れはしておらず、教員養成と資格職の実績を積み上げた静岡の総合大学です。全国区の難関ではないことは正直に受け止めつつ、地元で教員や専門職をめざす人にとっては十分に意味のある進学先だと言えます。大学名の平均だけで不安になるより、志望する学科の中身と自分の目標を照らし合わせて判断するのが、後悔の少ない選び方です。
よくある質問
常葉大学はFランですか?
偏差値35前後の学科があり、その学科だけを見ればFランの偏差値定義に触れます。ただし収容定員充足率は102.4%で定員割れはしておらず、10学部19学科の総合大学として教育や健康科学など偏差値40台の学科もあります。大学全体をFランと一括りにするのは実態と合いません。
なぜ常葉大学はやばいと検索されるのですか?
一部学科の偏差値が35前後と低いことと、全国的な知名度が静岡県外では高くないことが主な火種です。学力全体の問題というより、低い数字の学科と地方私大という印象が結びついてネガティブな言葉につながっています。
常葉大学の教員就職は強いですか?
教育の常葉と呼ばれる通り、教員養成に実績があります。教育学部の公表値では2023年度の教員採用試験合格者数は71人で、うち静岡県公立が54人です。開設以来の教員輩出は3,500人を超え、静岡県内の教壇を支えてきました。
常葉大学ならではの特徴は何ですか?
静岡県を代表する10学部19学科の総合大学である点です。教員養成に加え、保育、健康科学、造形、法など資格や専門職に直結する学部を幅広くそろえ、附属校を使った早い段階からの現場体験を用意しています。

相川 直樹