北海学園大学は「やばい」のか。道内私大の雄が全国目線で低く見られる理由を数字で確かめる

北海学園大学を検索すると「やばい」「恥ずかしい」という言葉がまず出てくる。ところが偏差値は37.5で非Fラン圏、収容定員は113.6%まで埋まっている。
道内では「北の早稲田」とも呼ばれる私大が、なぜ全国目線では低く見られるのか。就職・学部・立地の数字を一つずつ確かめていく。
この記事の目次
「北の早稲田」と呼ばれる私大が、なぜ検索窓で「やばい」と並ぶのか
北海学園大学は、道内で最初に誕生した私立大学で、約10万人の卒業生を送り出してきた。地元では東北学院・西南学院・南山と並ぶ「東西南北」の地方有力私大の一角に数えられ、「北の早稲田」と呼ばれることもある。札幌の企業や役所に卒業生が層を成しているので、道内での知名度と信頼はかなり厚い。
それでも検索窓に「北海学園大学」と打つと「やばい」「恥ずかしい」が候補に並ぶ。理由ははっきりしている。道内での評価と、全国目線での知名度に落差があるからだ。本州に住む人にとっては名前を聞かない大学で、その一点だけで「地方私大=格下」というふるいにかけられやすい。つまり「やばい」の多くは大学の中身の話ではなく、道外から見たときの知名度の話にすぎない。以下は北海学園大学(hgu.jp)の公表値に絞って中身を見ていく。
定員の113.6%が埋まる、人が余るほど集まる私大という事実
経営が傾いた大学を見分けるとき、多くの人が偏差値を見るが、実際に効くのは収容定員充足率だ。募集した定員に対して実際に何人在籍しているかを示す数字で、人が来ずに枯れていく大学ではここが8割を切る。北海学園大学の充足率は113.6%。定員割れどころか、定員を1割以上超えて学生が集まっている。
この数字は「やばい」というイメージと真正面からぶつかる。募集をかければ定員以上の受験生が押し寄せ、入学者を絞らなければならない側の大学であって、席が埋まらず困っている側ではない。全国目線で低く見られる一方で、道内の受験市場では明確に売り手が選ぶ立場にある。人気で溢れているという事実は、まず押さえておきたい。
国家公務員一般職の合格者が私大で北海道・東北トップ
北海学園大学の看板は公務員の強さだ。大学が公表した就職実績では、国家公務員一般職の合格者数が北海道・東北地区の私立大学で第1位。公務員合格者は全体で700人を超え、北海道職員、札幌市職員、北海道警察官などに毎年まとまった人数を送り込んでいる。
占有率で見ても存在感がある。道内受験者の志望度が高い札幌市の一般事務では合格者のおよそ23%、国家公務員一般職の行政北海道ではおよそ23%を、この大学の出身者が占めている(いずれも既卒者を含む)。法学部にいたっては、卒業生のおよそ3分の1が公務員という年もある。学内には受講者500名規模の公務員講座が用意されており、「地元で安定した職に就きたい」という進路に、大学ぐるみで応える設計になっている。「就職できないからやばい」という決まり文句は、この実績とかみ合わない。
就職率93.8%、進路は道内経済にがっちり食い込んでいる
公務員以外の就職も堅い。大学公表の就職率は全体で93.81%。昼間の1部だけを見れば95.27%に達する。主な就職先には、北海道銀行、北洋銀行、ホクレン農業協同組合連合会、生活協同組合コープさっぽろ、ニトリ、JR北海道、イオン北海道といった、道内で働く人なら誰もが知る企業が並ぶ。
全国区の難関企業がずらりと並ぶわけではない。だが北海道で暮らし、働くことを前提にすれば、地元の金融・流通・インフラの主力にこれだけ人を送り込めている大学はそう多くない。進路指導教諭が選ぶ「就職に力を入れている大学」の道内ランキングでも上位に入る。道内経済の内側に卒業生の網が張られていること自体が、この大学の資産になっている。
経済・経営・法・人文・工の5学部と、珍しく残る夜間部
学部は経済学部・経営学部・法学部・人文学部・工学部の5つ。文系4学部に工学部が加わった総合大学で、地元企業とのつながりが太いのは、この幅の広さも効いている。経済・経営・法という実学系が中心に据わっているのは、公務員と地元就職に強いという性格とそのまま重なる。
特徴的なのが、昼間の1部とは別に夜間の2部(夜間部)を今も持っていることだ。多くの私大が夜間課程を畳んでいくなかで、働きながら学ぶ、あるいは学費を抑えて通うという選択肢を残している。2部の就職率も89.11%と、昼間部に見劣りしない水準を保っている。学び方の間口が広いという点は、偏差値の数字だけでは見えてこない部分だ。
偏差値37.5は非Fラン、ただし学部でかなり割れる
入口の難易度を正直に置いておく。北海学園大学の偏差値はおおむね37.5で、Fランと呼ばれる水準(ボーダーフリーに近い帯)からは外れている。ただし大学全体で一枚岩ではなく、学部・学科でばらつきが大きい。経済学部や経営学部、法学部といった看板学部は相対的に高めで、工学部や一部の夜間課程は低めに出る。
だから「偏差値が低い学部の数字」だけを取り出せば入りやすく見えるし、「看板学部の数字」だけを見れば中堅私大に見える。どちらも同じ大学の別の面を切り取っているにすぎない。全体としては、道内の私大のなかで中堅の上に位置づけられる水準であって、誰でも素通りで入れる大学ではない。
札幌の中心から地下通路でつながるキャンパス
立地も人気を支えている。本部の豊平キャンパスは地下鉄駅と直結し、札幌の中心部から地下通路をたどって通える。冬の寒さと雪が厳しい土地で、屋外を長く歩かずに大学まで行けるという条件は、受験生にとって想像以上に大きい。通学の負担が軽いことは、充足率が定員を超える一因にもなっている。
都心の一等地に構える華やかさとは違うが、道央圏に暮らす学生が自宅から無理なく通える範囲に、落ち着いた学習環境がまとまっている。地元で学び、地元で就職するという流れを、立地の面からも後押しする配置だ。
「やばい」の中身を分けて読む
ここまでの数字を踏まえて、流れている「やばい」を分解しておく。
- 知名度が低い系……道外での認知が薄いのは事実。ただしこれは大学の中身ではなく、地方私大に共通する見え方の問題だ。
- Fラン・入りやすい系……偏差値37.5は非Fラン圏で、看板学部はさらに上。学部の低い数字だけを取り出したイメージが独り歩きしている。
- 就職やキャンパス系……就職率93.8%・公務員実績トップクラスの数字とは食い違う。サークルや学生生活の個別の噂は、大学全体の質とは切り離して読むべき話だ。
三つを一緒くたにして「やばい大学」とまとめると、実態を大きく取り違える。道外での知名度は確かに薄い、しかし中身は道内で選ばれ続ける私大、という順序で読むのが正確だ。
まとめ
北海学園大学は、偏差値37.5で非Fラン、充足率113.6%で定員以上に人が集まり、国家公務員一般職の合格者は道内・東北の私大で第1位という大学だ。全国目線で「やばい」と言われるのは、その中身のせいではなく、道外での知名度が薄いことに引きずられた見え方にすぎない。道内で学び、地元の企業や役所で働くことを前提にすれば、むしろ現実的で堅い選択肢になる。「やばい」の一語で切り捨てる前に、知名度の話と実力の話を分けて確かめてほしい。最新の偏差値・学費・就職データは必ず公式サイトで確認を。
よくある質問
北海学園大学はFランやばいというのはFランなのですか?
偏差値はおおむね37.5で、ボーダーフリーに近いFラン圏からは外れています。学部でばらつきがあり、経済・経営・法などの看板学部は相対的に高く、工学部や夜間課程は低めに出ます。収容定員充足率は113.6%で定員を超えて学生が集まっており、定員割れの大学ではありません。
北海学園大学が「やばい」「恥ずかしい」と言われるのはなぜですか?
主な理由は、道外での知名度が薄いことです。道内では「北の早稲田」とも呼ばれる有力私大ですが、本州では名前を聞かないため、地方私大というだけで低く見られやすいのです。就職率93.8%、公務員合格実績は道内・東北の私大トップクラスで、中身の数字は評判のイメージと食い違っています。
北海学園大学は公務員に強いですか?
強いです。国家公務員一般職の合格者数は北海道・東北地区の私立大学で第1位で、公務員合格者は全体で700人を超えます。札幌市の一般事務や国家公務員一般職(行政・北海道)では合格者のおよそ23%を占め、法学部では卒業生のおよそ3分の1が公務員という年もあります。学内に大規模な公務員講座も用意されています。
北海学園大学にはどんな学部がありますか?
経済学部・経営学部・法学部・人文学部・工学部の5学部です。文系4学部に工学部が加わった総合大学で、実学系が中心です。昼間の1部とは別に夜間の2部(夜間部)を今も持っており、働きながら学ぶ、学費を抑えて通うといった選択肢も残されています。

相川 直樹