龍谷大学は産近甲龍の一角、380年の歴史を持つ大学がなぜ「やばい」と検索されるのか

龍谷大学を調べると「やばい」「恥ずかしい」という言葉が並び、受験生や保護者が不安になるのも無理はありません。ですが龍谷大学は産近甲龍の一角で、Fランとはまったく別の場所にいる伝統校です。
ここではなぜそう検索されるのかを産近甲龍という括りと公式の就職データから落ち着いて確かめます。
この記事の目次
叩かれる火種は「産近甲龍の龍」という立ち位置そのもの
龍谷大学が必要以上に語られる背景には、学力そのものとは別の事情があります。関西の私大には、関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館)という難関グループと、その一つ下に位置する「産近甲龍(京都産業・近畿・甲南・龍谷)」という中堅上位グループの通称があります。龍谷大学はこの産近甲龍の末尾に置かれることが多く、関東でいえば日東駒専に相当する位置づけとされています。
問題は、この序列がネット上で「関関同立に届かなかった側」という文脈で語られやすいことです。すぐ上に同志社や立命館という全国区の名前があるため、比較で見劣りする印象が先に立ち、それが『やばい』『恥ずかしい』という感情語に変換されていきます。つまり批判の多くは、偏差値が極端に低いからではなく、関関同立との距離をめぐる位置論から来ています。Fラン判定を行うf-ran.comでも、龍谷大学は偏差値40〜45程度あり定員割れもしていないことから、Fランには当たらないと結論づけられています。
起源は1639年の西本願寺の学寮、380年を超える学びの蓄積
龍谷大学の歴史をたどると、その起源は1639年、西本願寺に設けられた僧侶を育てる「学寮」にさかのぼります。浄土真宗本願寺派を建学の精神とし、1922年に大学として認可を受けました。創立からの流れで数えれば380年を超える歴史を持ち、産近甲龍の四校のなかでも最も古い伝統校です。京都・滋賀に深草・大宮・瀬田の3キャンパスを構え、およそ2万人の学生が学ぶ総合大学に育っています。
この歴史は看板だけのものではありません。大学が運営する龍谷ミュージアムは日本初の仏教総合博物館で、大谷探検隊が持ち帰ったシルクロードの資料など貴重な文化財を数多く所蔵しています。数百年にわたる学問の蓄積と文化財を抱える大学という実像は、掲示板でやり取りされる『やばい』という一言とは、そもそも土俵が違います。
偏差値42.5〜55、学部でこれだけ割れる数字を一つに丸めない
龍谷大学の偏差値は、河合塾の基準でおおむね42.5〜55の範囲に分布します。ここで注意したいのは、この幅の下限だけを取り出して大学全体を語る使われ方です。文系の一部の学科では42.5前後にとどまる一方、心理学部や国際学部など人気の学部は上振れし、関関同立の下位学部と競る難易度になる逆転も起きています。低いほうの数字だけを切り出せば実態を見誤りますし、逆に高いほうだけを見ても偏りが出ます。
収容規模の面でも、龍谷大学は定員割れとは無縁の位置にいます。約2万人が在籍し、一般選抜には毎年多数の志願者が集まる人気校で、学生を集められず経営が揺らぐ大学とは状況が異なります。京都という進学人気の高い土地で、この規模を保ち続けている点は、数字が示す確かな支持です。偏差値という一つの物差しだけで龍谷大学を評価すると、この受験生からの実際の集まり方が抜け落ちます。
就職率96.9%、ただし有名企業実就職率では関関同立に届かない
就職の姿は、良い面と課題の両方を正直に見るのが公平です。龍谷大学の公式データによると、2024年度卒業生の就職率は96.9%(就職者数3,958名/就職希望者数4,084名)と高い水準にあります。学内の求人サイト「龍谷キャリアナビ」には約20,800件の求人が集まり、資格を持つキャリアカウンセラーが個別に支援する体制も整っています。就職できないという言葉と、この数字はかみ合いません。
一方で、いわゆる有名企業への就職率で見ると、産近甲龍の平均は関関同立に及ばないという調査もあります。上位大学と同じ土俵で大手だけを狙うなら、この差は正面から受け止める必要があります。ただ龍谷大学は公務員試験対策の講座が手厚く、地方公務員や国家一般職の合格者を安定して出しており、大手一本ではない進路の選択肢が広い大学です。「有名企業への就職率」という一つの物差しだけで測ると、この強みを取りこぼします。
文学部が看板、そこに農学部・先端理工という近年の改革が重なる
学べる中身も、伝統一辺倒ではありません。龍谷大学の看板は文学部で、歴史や仏教、文学など人文系の層の厚さに定評があります。それに加えて、2015年に設置された農学部は関西の私大では数少ない「食と農」を正面から学べる学部として注目され、2020年には理工学部を改組して先端理工学部が生まれました(2027年に理工学部へ名称変更予定)。2023年には心理学部も開設され、文系・理系ともに選択肢が広がっています。
文・経済・経営・法・政策・国際・社会・心理・農・先端理工と、10前後の学部を擁する総合大学であり、伝統校でありながら学部改革を続けている点が特徴です。ネット上の断片的な評判ではなく、こうした学びの幅と近年の動きを踏まえれば、龍谷大学を過度に不安に思う必要はありません。
3キャンパスの役割分担、文系は深草・理工は瀬田
龍谷大学は京都・滋賀にまたがる3キャンパス制で、それぞれ役割がはっきりしています。京都市の深草キャンパスは京阪・JR・地下鉄のいずれからも徒歩10分圏内という好立地で、文系学部の多くが集まる中心地です。大宮キャンパスは大宮図書館など歴史ある施設を擁し、滋賀県大津市の瀬田キャンパスは理工系学部が集約される拠点として整備が進んでいます。
この配置により、文系志望なら都市型の深草、理系志望なら緑の多い瀬田といった具合に、学ぶ分野で環境を選べます。通学のしやすさや街の雰囲気も志望校選びでは大切な要素です。龍谷大学は、産近甲龍という位置づけ、380年の歴史、高い就職率、そして学部改革という複数の実像を持つ大学であり、検索で見かける一言の印象だけで判断してしまうのはもったいない選択肢だと言えます。
よくある質問
龍谷大学はFランですか?
いいえ。偏差値は河合塾の基準でおおむね42.5〜55あり、産近甲龍という中堅上位グループの一角です。約2万人が在籍して定員割れもしておらず、Fラン判定サイトでも非Fランと結論づけられています。
なぜ「やばい」「恥ずかしい」と検索されるのですか?
すぐ上に関関同立という全国区のグループがあり、比較で見劣りする印象が先に立つことが主な火種です。学力そのものより、産近甲龍という位置づけをめぐる感情論から来ています。実データとネットの空気は分けて見る必要があります。
龍谷大学の就職は弱いですか?
就職率は2024年度卒業生で96.9%と高い水準です。有名企業への就職率では関関同立に及ばない面もありますが、公務員試験対策が手厚く、大手一本ではない幅広い進路に強い大学です。
龍谷大学はどんな学部がありますか?
看板の文学部に加え、経済・経営・法・政策・国際・社会・心理、そして農学部や先端理工学部(2027年に理工学部へ名称変更予定)まで、10前後の学部を持つ総合大学です。近年も学部改革を続けています。

相川 直樹