札幌大学は学部を持たない「1学群8専攻」、偏差値35でもやばくない理由

札幌大学で検索すると「やばい」「Fラン」「誰でも入れる」という言葉が先に並び、受験生や保護者が不安になるのも無理はありません。ただ、その多くは偏差値と倍率の低さを言い換えた印象論です。
偏差値BF〜35・充足率89.4%という数字に加え、学部を持たず入学後に専攻を選べる札幌大固有の仕組みや道内就職の実績を、公式データを引きながら順に確かめます。
この記事の目次
ネットで「やばい」と言われる中身を先に分解する
検索欄に並ぶ「Fラン」「恥ずかしい」「誰でも入れる」は、突き詰めるとどれも偏差値と入試倍率の低さを言い換えた表現です。掲示板やSNSで北海学園大学のような道内の有名私大と比べられ、相対的に低く見られてしまうのも一因です。ここではその印象論を一度脇に置き、偏差値・充足率・就職・立地・学費という、公表されていて確かめられる項目だけを順番に見ていきます。数字を並べれば、噂の解像度は一気に上がります。
学部がなく「1学群8専攻」でまとまる、札幌大の独特な入口
札幌大学には経済学部や法学部といった学部が存在しません。全学生が「地域共創学群」という一つの学群に所属し、経済学・経営学・法学・英語・歴史文化・日本語日本文化・スポーツ文化・リベラルアーツの8つの専攻から主専攻を一つ選ぶ形をとっています。学部で輪切りにせず、地域課題の解決に取り組む人材育成という一本の軸でまとめているのが特徴です。
さらに独自の「レイターマッチング」制度があり、入学時に専攻を決めずに入り、2年次に専攻を選択・変更できます。公式によると入学者の約23%がこれを利用しています。主専攻と副専攻の組み合わせは28通り。やりたいことが定まっていない、途中で変わるかもしれないという受験生にとって、後から選び直せる設計は現実的な安心材料になります。
偏差値はBF〜35.0、判定はFラン圏。ただしそれは入口の数字
札幌大学の偏差値は河合塾提供でBF〜35.0、共通テスト得点率は40〜47%が目安です。ほとんどの専攻が35前後で、リベラルアーツ専攻はボーダーフリー(BF)となっています。世間で使われるFランの基準(偏差値35以下やBF)に該当するため、Fラン圏と見られるのは事実として認めるべき点です。入試倍率も全選抜合計でおおむね1.1〜1.3倍と低く、受験者の多くが合格します。
ただし偏差値と倍率が示すのは、あくまで入学時の入りやすさです。学生がその4年間で何を身につけ、どこへ就職したかという出口の話とは、指標そのものが別物です。「誰でも入れる」ことと「入っても意味がない」ことは、イコールではありません。次に、その出口を見ていきます。
充足率89.4%は、定員割れでも崩壊でもない中間の数字
収容定員充足率は89.4%です。定員(100%)はやや下回っており、定員割れの状態にあるのは確かです。ただ、北海道は少子化で18歳人口の減少が続き、地方私大の充足率は全体に押し下げられています。その中での89.4%は、学生が集まらず経営が揺らぐ極端な水準というより、余裕はないが着実に回っている規模感と読むのが妥当です。
キャンパスには全国各地から集まった約3,000人の学生が在籍しています。この在籍規模を保てていること自体が、志願者から一定の支持を得ている証でもあります。充足率という一つの数字だけを取り出して「危ない」と決めつけるのは、背景を無視した早計な判断です。
道内就職率77.4%・公務員73名、地元で働くなら実績は機能する
札幌大学が本領を発揮するのは就職です。公式は就職希望者に対する就職率が毎年約90%以上に上ると公表しています。進学情報サイトに載る地域共創学群の実績では、道内就職率77.4%。公務員は国家一般職3名・北海道職員20名・市町村20名・保安職(刑務官や警察官など)30名の計73名、教員採用試験の合格者は35名にのぼります。
主な就職先には、ニトリ、イオン北海道、サッポロドラッグストアー、ANA新千歳空港、北洋銀行、日本郵便、公立学校教員、自衛隊など、北海道の主要企業と公務がずらりと並びます。首都圏の全国区大企業を大量に狙うタイプの大学ではありませんが、北海道で働くという前提に立てば、送り出す先はしっかり揃っています。地元就職の再現性が高い大学だと整理できます。
立地は豊平区西岡の丘、駅から徒歩ではなくバス圏
キャンパスは札幌市豊平区西岡3条7丁目、市のシンボル藻岩山を望むゆるやかな丘陵地にあります。最寄りは地下鉄南北線「澄川」駅や東豊線「月寒中央」駅で、そこからバスに乗り継ぐ形です。駅から徒歩圏ではないため、通学の便を重視する人は事前に経路を確認しておくのが安全です。
その代わり、敷地は約20万平方メートル(札幌ドーム4個分)と広く、自然林に囲まれた環境が魅力です。図書館は和洋あわせて75万冊超を所蔵し、道内でも規模は上位。落ち着いて学びたい人には、都心の狭いキャンパスにはない余裕があります。立地は弱みと強みが同居しているというのが正直なところです。
学費は全専攻共通の初年度110万円、加えて横断型プログラム
初年度納入金は8専攻すべて110万円(別途諸費)で統一されています。専攻によって学費が変わらないため、費用を理由に進みたい分野をあきらめる必要がありません。北海道の私大としては標準的な水準です。
学びの幅を広げる仕掛けとして、専攻を横断する「みらい志向プログラム」が5つ用意されています。リスクマネジメント、スポーツマネジメント、食・観光、データサイエンス、アイヌ文化スペシャリスト養成の各プログラムで、専攻の学びに現代的なスキルを掛け合わせられます。加えてキャリアサポートセンターでは、簿記やFP、公務員試験対策などの講座を学内で安価に受講でき、資格取得を後押しする体制も整っています。
結局、札幌大学はどんな人に向く大学か
北海道で就職したい、入学後に専攻をじっくり選びたい、広い環境で落ち着いて学びたい。こうした条件に当てはまる人には、札幌大学は十分に合う選択肢です。逆に、首都圏就職や全国区の大企業、高い偏差値の看板そのものを求めるなら、別の大学のほうが目的に合います。
偏差値BF〜35と充足率89.4%が低めなのは事実で、Fラン圏と呼ばれることも否定はしません。ただそれは入口の数字であり、道内就職率77.4%・公務員73名という出口のデータは、同じ偏差値帯の中では十分に戦えています。「やばい」の一語で切り捨てるには惜しい実績を持つ大学だ、というのが数字から見えてくる結論です。
よくある質問
札幌大学はFランですか?
偏差値はBF〜35.0で、世間で言うFランの基準(偏差値35以下やボーダーフリー)には該当します。ただし就職希望者の就職率は毎年約90%以上で、道内就職率も77.4%あるため、Fラン=就職できないという評価は実態と噛み合いません。
札幌大学は誰でも入れますか?
入試倍率は全選抜合計でおおむね1.1〜1.3倍と低く、受験者の多くが合格するのは事実です。ただし入学者選抜自体は行われており、全員が必ず合格するわけではありません。
札幌大学の就職は弱いですか?
北海道での就職には強い大学です。道内就職率77.4%、公務員73名、教員採用35名という実績があり、ニトリやイオン北海道、北洋銀行、ANA新千歳空港など道内主要企業への就職先が並びます。全国区の大企業中心を狙うなら物足りなさはあります。
札幌大学の学部は何がありますか?
学部制ではなく「地域共創学群」の1学群制で、経済学・経営学・法学・英語・歴史文化・日本語日本文化・スポーツ文化・リベラルアーツの8専攻があります。入学後に専攻を選べる「レイターマッチング」制度も特徴です。

相川 直樹